見積が毎回ブレる会社は、値上げが「交渉」になりやすい|価格の基準を“説明できるルール”にする方法
- web6788
- 1月21日
- 読了時間: 5分
更新日:7 日前
“価値が伝わる会社”にするための、仕組みと基準の整え方
このラボは、売り方のテクニックではなく、「選ばれる理由」を言語化し、再現できる状態にするためのブランディングを、経営の現場に落とし込む形で扱います。
今日のテーマ「見積の基準(ルール化)」も、結局は「価値提供の一貫性(ブランド体験)」を守る話です。

はじめに:見積がブレると、値上げは“お願い”になりやすい
「同じような案件なのに、見積が毎回違う」
「担当者によって判断が変わる」
「値上げ(価格転嫁)の話になると、説明が苦しい」
こうした悩みは、交渉力の問題に見えて、実はその手前で
「価格の基準が社内で揃っていない」ことが原因になっているケースが少なくありません。
A5では「標準/追加」の境界線(条件)を扱いました。
A6はその次の段階、価格を“説明できる形”にするための基準づくりです。
1.見積がブレる会社で起きやすい3つのこと
見積がブレる状態が続くと、だいたい次の3つが起きやすくなります。
・利益が読めない(粗利が安定しない/忙しいのに残らない)
・説明が揃わない(同じ会社なのに言うことが違うように見える)
・値上げが交渉になる(根拠の説明ができず、空気で決めがち)
結果として、値上げの話が「正しい説明」ではなく「お願い」に寄ってしまい、言う側もしんどくなります。
2.基準(見積ルール)は“価格表”ではなく「判断が揃う状態」
ここでいう基準は、「価格表を作る」ことだけではありません。
・どこからが追加か(A5の条件)
・追加なら、いくら増えるのか
・例外が出たときに、どう判断するのか
こうした判断が、担当者の性格や場の空気ではなく、会社として揃っている状態。
それが、このラボでいう「基準(見積ルール)」です。
3.基準づくりの前提は「価値・条件・基準」の3点セット
基準の話は、単独で始めると高確率で詰まります。
理由は、基準は“単体”では成立しにくいからです。
・価値:うちは何を提供しているのか(相手にとっての意味)
・条件:その価値が成立する範囲はどこまでか(標準/追加の境界)
・基準:条件によって価格がどう決まるか(見積ルール)
※この3点セットの全体像はA1で扱っています。
値上げの話は「基準(いくらにするか)」に目が行きがちですが、
実務では、価値と条件が言語化されていないために、基準が作れないことがよく起きます。
4. “基準”がないと、値上げは「説明」になりにくい
値上げが怖い時、いちばん苦しいのは金額そのものよりも
「なぜその金額なのか」を言葉にできないことです。
この“なぜ”を支えるのが、価値の再定義(P1)です。
「うちの強み」ではなく、「相手にとっての意味(成果・安心・体験)」として価値が置けると、説明が一本通りやすくなります。
5. 見積ルールは「3つの型」で作る(全部盛りしない)
見積ルールを作ろうとして止まる原因の多くは、最初から完璧にやろうとすることです。
まずは“型”を決めると進みます。
型A:加算・減算(追加条件)型
・仕様変更が入ったら +〇〇
・対象が増えたら +〇〇
・緊急対応なら +〇〇
A5(条件)を、そのまま基準に接続しやすい型です。
型B:段階(ティア)型
・標準(基本)
・標準+(少し追加が多い)
・個別(前提が変わる/別契約)
「案件が似ているのに違う」業種ほど効きます。
型C:単位(単価)型
・1回あたり/1時間あたり/1ページあたり/1㎡あたり
現場感に落とし込みやすい反面、価値が薄く見えないように
P1の「価値(体験)」とセット運用が安全です。
6.基準を「説明できる形」にする3ステップ(小さく始める)
基準づくりは、やってみると想像以上に“判断の整理”が必要で、簡単な作業ではありません。
だからこそ、最初は小さく始めて、揃える範囲を増やすのが現実的です。
Step1:代表的な案件を3つだけ決める
・よくある案件(標準の代表)
・追加が起きやすい案件(揉めやすい代表)
・喜ばれた案件(価値が伝わった代表)
ここが共通土台になります。
Step2:条件(標準/追加)を先に揃える(A5の復習)
「標準をどこまでにするか」
「前提が変わったら追加になる」
この整理ができると、基準の説明が自然になります。
Step3:基準は“例外処理”から作る
多くの現場で詰まるのは「例外」です。まずは例外を3つだけ選びます。
・仕様変更が出たとき
・範囲外対応が出たとき
・納期が急に短くなったとき
この3つだけ「どう価格が変わるか」を決める。
それだけでも、見積のブレは減りやすくなります。
7. うまく回らない典型パターン(先に避ける)
基準を作っても機能しにくいのは、だいたいこの3つです。
・価値が置けていない
→ 価格の話だけになると、説明が“言い訳”に見えやすい。価値(体験)を先に。
・条件が曖昧なまま基準を作ろうとする
→ 追加の境界が曖昧だと、基準が例外だらけになりやすい。
・言い回しが揃っていない
→ ルールより先に、説明の言葉(共通言語)のズレが信用を落としがちです。
まとめ:基準は「値上げのため」だけではなく、信頼を守る設計
見積の基準(ルール化)は、値上げ(価格転嫁)のためだけの施策ではありません。
利益を守り、説明を揃え、価値提供の一貫性を守るための設計です。
条件(A5)と、この記事で記述した基準が揃ってくるほど、価格は「交渉」より「説明」に寄っていきます。
Branding Point(今回のブランディング視点)
見積の基準づくりは、価格の話ではなく「価値提供の一貫性」を守るための設計です。
この一貫性が整うほど、値上げは“お願い”ではなく“納得されやすい説明”になっていきます。
※ここまで試してみて「言葉が揃わない」「例外処理で止まる」と感じるのは自然です。
多くの場合、詰まるのは作業よりも判断基準の置き方なので、必要なら整理の仕方から一緒に見直す方法もあります。



