値上げが怖いのは交渉力不足ではない|価格転嫁を“説明”に変える根拠設計(価値・条件・基準)
- web6788
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更新日:3 時間前
“価値が伝わる会社”にするための、仕組みと基準の整え方
このラボは、売り方のテクニックではなく、「選ばれる理由」を言語化し、再現できる状態にするためのブランディングを、経営の現場に落とし込む形で扱います。
値上げ(価格転嫁)も、その延長線上にあります。強気になる話ではなく、“説明が揃う状態”をつくる話です。

はじめに:
値上げが言い出しにくいのは、交渉力だけの問題ではない
こうした悩みは、いま多くの現場で起きています。ここで整理しておきたいのは、値上げが言い出しにくい背景は「交渉力」だけではない、という点です。多くの場合、怖さの正体は“値段の話”の前にあります。
「原価が上がっているのに、利益が残らない」
「相見積もりになると、結局“価格”で比べられる」
こうした悩みは、いま多くの現場で起きています。ここで誤解してほしくないのは、値上げが怖いのは“あなたが弱いから”ではない、ということです。
怖さの正体は、交渉より前のところにあることが多い。まずはそこから整理します。
1. 値上げが怖いとき、実は起きていること
値上げの場面で苦しくなるのは、たいてい「言い方」や「押し切る力」が足りないからではありません。
多くの場合、次のような“揃っていない状態”が、心理的な負担を大きくします。
・いくらが妥当かを、説明しきれない
・説明の根拠が、人によってブレる(担当者ごとに言うことが違う)
・どこまでが標準で、どこからが追加(追加料金)なのかが曖昧
・顧客を失うことが怖い(でも、残すべき顧客像が言葉になっていない)
・“自社の価値”が、相手に伝わる言葉になっていない
つまり、交渉の前に「価値の前提」が未整理なままになっている。ここが整うほど、値上げは“勝負”ではなく“説明”に近づきます。
2. 根拠設計の核:価値・条件・基準の3点を揃える
値上げの根拠は、完璧な理論を組み立てなくても、まず次の3点を揃えると形になりやすいです。
・価値:うちは何を提供しているのか(相手にとっての意味/成果・安心・体験)
・条件:その価値が成立する範囲はどこまでか(標準/追加の境界、前提条件)
・基準:条件によって価格がどう決まるか(見積ルール)
この3点は「これだけで全てが解決する」という魔法の道具ではありません。ですが、現場が止まりやすい“根拠のバラつき”を、整理できる軸になります。
値上げの怖さは「基準(いくら)」だけの問題に見えがちです。ところが実務では、価値と条件が言語化されていないために、基準が決められず、説明も揃わなくなることがよく起きます。
3. 事例(匿名):
技術はあるのに、価格が上げられない老舗のケース
例えば、ある少人数の職人企業(創業年数が長い/高い技能評価を持つ)では、仕事はあるのに利益が残りにくい状態が続いていました。
原因は「相場」や「過去の実績」を頼りに見積が作られ、案件ごとの条件差が価格に反映されにくかったこと。追加対応も“ついで”として積み上がり、結果として利益が薄くなっていました。
そこで取り組んだのは、売り方の変更ではなく、
まず「価値・条件・基準」を揃えることでした。
・価値:顧客が助かっていること(成果・安心)を言語化
・条件:標準の範囲と、追加になる前提条件を整理
・基準:条件に応じた加算・減算をルール化(見積の再現性)
その結果、説明が揃い、価格の見直し(例:見積ベースでの単価調整)に
踏み出しやすくなりました。
4. 進め方:根拠設計を“社内で揃える”ための3ステップ
ここは軽い話ではありません。
だからこそ、最初から完成を狙わず「揃える」ことを目標にします。
まずは小さく始められる手順に落としてみます。
Step1:価値を一文にする(顧客の成果・安心で)
Step2:標準と追加の境界線(前提条件)を決める
Step3:条件が変わったら価格が変わる、という“見積ルール”に寄せる
途中で「言葉が揃わない」「線が引けない」と感じるなら自然です。
多くの場合、詰まるのは作業量ではなく“判断基準の置き方”なので、必要があれば、詰まりポイントから一緒に整理していく方法もあります。
まとめ:値上げは“交渉”ではなく“説明”へ寄せられる
値上げが怖いときほど、交渉の技術を探したくなります。
ですが、先に整えるべきは「根拠が揃う状態」です。
価値・条件・基準が揃うほど、価格転嫁は“押し切る”話ではなく、
“納得してもらう説明”に変わっていきます。
Branding Point(今回のブランディング視点)
このテーマは「売り方」ではなく、価値がブレないように“基準(判断・説明)”を整えるブランディング実務です。基準が揃うほど、価格や条件の説明が「お願い」ではなく「納得」に寄りやすくなります。




