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値上げの話を「交渉」にしないための説明設計

  • web6788
  • 1月22日
  • 読了時間: 5分

価格の前に、“守る未来”と“根拠”を揃える

この記事は、値上げの“言い回し”や交渉術ではなく、会社として判断と説明を揃える(=ブランディングの上流設計)の話として整理します。


「売り方」ではなく、「何を守り、どう説明する会社か」という基準づくりに焦点を当てます。


くまでん デザイン経営

はじめに:値上げは「価格の話」より先に決めることがある


値上げの話題は、どうしても“お金の話”に見えます。

ただ、揉めやすいのは金額そのものというより、話の入口のほうです。


価格から入ると、会話は「交渉」に寄りやすくなります。

逆に、入口で「これから何を守るのか」が共有できると、同じ内容でも「説明」として進みやすくなります。


この記事では、値上げを押し付けずに伝えるための説明の順番(設計)を整理します。

話し方のテクニックではなく、判断材料の並べ方の話です。



1.まず確認するのは「守りたい状態」


未来から入ると、押し付けに見えにくい


値上げを伝える前に、先に揃えておきたい確認があります。

この取引で、これからも一番守りたいのは何か。品質/納期/緊急対応/担当固定/検品の精度/やり取りの速さ…など。

ここを先に言葉にしておくと、値上げの話が「こちら都合のお願い」ではなく、守る未来を継続するための条件整理として進めやすくなります。



2.交渉になりやすい順番


「価格→理由→お願い」は交渉モードを呼びやすい


揉めやすい順番は、だいたい次の形です。

1) 新しい金額(先に価格)

2) 理由(原価高騰・人件費…)

3) お願い(なんとか…)

 

この順番だと、受け取りがこうなりやすくなります。

・価格=要求に見える

・理由=後付けの正当化に見える

・お願い=交渉の余地に聞こえる

 

もちろん、関係性や状況によって成立する場面もあります。

ただ、長く続けたい取引ほど、入口で「交渉」に寄ると、信用も信頼も積み上がりにくくなります。



3.押し付けに見えにくい説明の順番


価格の前に「守る未来」と「根拠」を揃える


値上げの説明が「交渉」になりやすいのは、価格が先に出た瞬間に、相手の頭が“駆け引き”に切り替わるからです。

そこで有効なのが、価格の前に「これから守ること」と「その根拠」を先に揃える順番です。

 

結論から言うと、次の順番にすると説明として成立しやすくなります。

守る未来 → 約束 → 根拠 → 変化 → 懸念の確認 → 価格


A7の型:説明の順番(相手起点)


① 守る未来(守りたい状態の共有)

:この取引で、これからも守りたいことを先に言葉にします(品質、納期、緊急対応など)。

② 約束(守ることの宣言)

「今後もここは守る」「ここは優先する」と、方針を先に置きます。

③ 根拠(信用:過去・現在)

実績や取り組みなど、任せる前に安心できる材料を“短く”提示します。

④ 変化点(条件:事実)

上がったもの、変わった条件を整理します。理由を盛らず、事実を中心にします。

⑤ 懸念の確認(不安の回収)

「気になる点はどこか」を一度確認し、不安を残したまま次へ進まないようにします。

⑥ 価格(基準として提示)

お願いではなく、基準として反映します。可能なら選択肢を用意すると判断しやすくなります。

 

この順番の狙いはシンプルです。

相手の中で任せる前に安心できる根拠(信用)と、任せた後に期待できる見通し(信頼)を先に整えてから、条件(価格)に入ります。

そうすると、話が“押し付け”ではなく、“条件のすり合わせ”として進みやすくなります。



4. 会話やメールで使える短い説明文


長い説明が使いにくい場面ほど、順番が効く


現場では、長い説明は使いにくいはずです。

そこでここでは、さきほどの順番(①〜⑥)を、そのまま短い文章に落とした例を置きます。

 

ポイントは、言い回しを綺麗にすることではなく「順番だけ守る」ことです。

自社の業種や取引内容に合わせて、◯◯の部分を置き換えて使ってください。


① 守る未来(守りたい状態)

「今の取引で、今後も一番守りたいのは◯◯(例:納期と品質)だと考えています。」

② 約束(守ることの宣言)

「そこは変えません。むしろ◯◯(例:検品や緊急対応)は今後も優先します。」

③ 根拠(信用:過去・現在)

「これまで◯◯の基準で運用してきて、直近も△△(例:工程改善/体制の固定)を続けています。」

④ 変化点(条件)

「一方で、××(例:材料費/外注費/人件費)の上昇が続き、現条件のままだと同じ水準を維持しにくくなってきました。」

⑤ 懸念の確認(不安の回収)

「ここまでで、気になる点(不安な点)があれば教えてください。先にそこを揃えてから条件を確定したいです。」

⑥ 価格(基準として提示)

「そのうえで、◯月以降は△△の部分のみ□□円(◯%)の改定をお願いします。適用は◯◯の場合で、□□は従来どおりです。」


この構造だと、値上げが“お願い”ではなく、守る未来のための条件説明として成立しやすくなります。



5. 「盛るほど逆効果」になりやすい3つ


説明が長いほど、言い訳に聞こえやすい


順番を整えても、次の3つが入ると空気が変わります。

・理由を盛る(情報過多で“言い訳”に見えやすくなります)

・感情で下がる(申し訳なさが強すぎると“交渉してください”に聞こえやすくなります)

・その場しのぎになる(案件ごとに説明が違うと、基準が見えなくなります)

 

ここが崩れると、説明のつもりでも「交渉してください」に聞こえてしまうことがあります。

説明は“勝つため”ではなく、判断材料を揃えるためのものです。



まとめ:値上げは、話し方より「入口」と「順番」で決まる


値上げが難しいのは、交渉力の問題だけではありません。

同じ根拠でも、入口と順番がズレると、交渉になりやすくなります。


守る未来 → 約束 → 根拠 → 変化 → 懸念の確認 → 価格

この型を持っておくと、値上げは“押し付け”ではなく“説明”に寄っていきます。



Branding Point(今回のブランディング視点)


値上げの説明設計は「話し方」の話ではなく、

価値がブレないように“判断と説明の順番”を揃えるための設計です。

ここが整うほど、値上げは“交渉”ではなく“納得されやすい説明”になっていきます。



ここまでやってみて「どこを未来に置くか」「どこまでを基準として出すか」で迷うのは自然です。

もし一度、社内の判断基準を整えるところから整理してみたくなったら、気軽に声をかけてください。



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